人生を折り返した年齢でジャニーズにはまった話

今思い出しても不思議な

40過ぎて人生を折り返した頃にジャニーズに沼落ちした話をしよう。

 

それは、昨年の7月のこと。

あまり大きな病気に縁のない我が家に激震が走った。

 

ある夜、夫が右ひざを骨折して帰ってきたのだ。

 

ギプスで固められ、自由を失った右足は常に真っすぐ固定されており、家の中でも松葉杖の生活が始まった。

それまで夫が分担していた家事を引き受けるのはもちろん、身の回りのことでさえ介助が必要となり、さらには一時間弱の時間をかけて車で夫の職場まで送り届け、その後に自分のパートに出かけるという日々が始まった。

 

幸い怪我の治りは順調で、そんな日々は長くは続かなかったが、今後への漠然とした不安が付きまとっていたのと、シンプルに体力的にかなりしんどかった。

普段夫に甘やかされて生きている私は、わかりやすく病んだ。

 

そんなある日。

娘とショッピングモールを歩いていると、CDショップの店頭のきらっきらのピンクのポスターが目に飛び込んできた。

自分の背丈よりも大きなそのポスターを前に足が止まり、しばらく立ち尽くして眺めてしまっていた。

 

誰だ?この子たちは・・・

 

娘を呼び止め尋ねると、それは「なにわ男子」というグループで7人組。

関西ジャニーズJr.出身で、晴れてデビューが決まったばかりだと説明を受けた。

(ちなみに娘はSnowMan担でありジャニオタ。今思えば助かったぜ!)

そう。ちょうどその日は「なにわ男子」のデビューアルバム「First Love」のフラゲ日だったのだ。

 

なんか、泣きそうだった。

ぼろっぼろに心身ともに張りつめていたところに、7人が王子様のような微笑みでこちらを見ている。

手をすっと差し伸べて、「とにかく、こっちにおいでよ」と言われている気がした。

 

「これ買うわ」

「え?まじで?」

「うん。なんだっけ?キンプリ?(かろうじてあった最新の知識)」

「いや、なにわ男子だし。え、まじで買うの?」

「買う」

 

娘が驚くのも無理はない。私がジャニーズアイドルにハマっていたのは小学生の時の光GENJIのみ。そこからはジャニーズとは一切無縁に生きてきた。

ジャニーズどころか、その他の流行りのアーティストやK-POPなんかにも殆ど興味なく、趣味は宝塚観劇とたまに劇団四季。話題のドラマも、もっと言えばテレビすらあまり観ない毎日だった。

なので、知らなかった。彼らの名前も、歌も、何もかも。

 

平積みしてあった3形態の中から、過去の楽曲が収録されている初回限定版1をチョイスし、繰り返される「本当に買うの?」という娘の声を背にレジで支払い。

 

帰りの車の中で早速CDを再生する。

 

うわ、一曲も知らねぇ。

 

でも、わかる。

疲れ切った毎日から、キラキラした世界への現実逃避。

”不要不急”なものにときめくこと。

これこそ、今の自分が求めていたもの。

その時の自分の中に欠けていた物がばちーんとはまったようで、胸がいっぱいになった。

 

ジャニーズのことなんて、何も知らない。Jr.制度のことも説明されてもわからない。

それでも思った。

 

この子たちのことが好きだ、と。

 

どの曲も甘く、瑞々しく、かわいらしく、できるだけ聴いていたくていつもよりゆっくり運転して帰った。

 

もともとキラキラしたカワイイものが好きな私。

もうそこからは転がるように彼らにハマっていった。

 

その日から2日でアマプラの「natural」を大号泣しながら全編観終え、その後はYouTubeを遡ってすべてチェック。この時初めて、AmazonFireStickの便利さを知った。ありがとう!

朝はZIPしか見なかったが、当然のようにめざましテレビに寝返った。

少クラやアプデを毎週予約し、ドル誌は娘と手分けして4冊購読。

そして、7月28日(なにわの日)にファンクラブ入会する。

 

家族もそんな四十路のなにふぁむを馬鹿にすることもなく温かく見守ってくれてて、翌月の私への誕生日プレゼントは「勝たんコン」のBlue-ray。

激烈に喜んだのは言うまでもない。

 

もちろん、今でもなにわ男子が大好き。

 

体が必要な時に必要なものを食べたくなるように。

あの時、わたしは彼らの存在を本能的に欲していたのかもしれない。

 

当時、「ダイヤモンドスマイル」を聞いて泣きながら通勤してた。

今でもこの曲を聴くとあの頃のしんどさを思って胸がきゅっとなる。

でも、あのしんどさがなければ彼らに出会っていなかったと思うし、とても救われる。あの頃のことが悪い思い出として残っていない。むしろ、幸せだったとすら思える。

 

人はいつどこでどんな沼にはまるかわからないなーってお話でした。

 

だからこそ、人生はいつだって楽しい。